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口癖を直す1

人って思いが変わると気持ちが変わる。気持ちが変わると環境が変わる。環境が変わると行動が変わるんです。で、思いを変える第一歩は、口癖を変えることです。人って自分が言ったとおり思ったとおりに進んでいくんです。そのように脳が働くんです。脳って、その人が今一番いいとおもうことを判断して命令を出すんです。だから、ネガティブな言葉を話しネガティブなことを思えばネガティブに、ポジティブな言葉を話しポジティブなことを思えばポジティブにその人を導くんです。“意外だな”と思った人もいると思います。人は、言葉によってコミュニケーションを取る動物です。自分でも気付かないうちに、発している口癖。これを直していきましょう。

 昔から『なくて七癖』って言うでしょ。自分には癖が全くないと思っていても人から見ると7つの癖があるってことです。周りの人たちに聞いてみると、意外と癖って見つかるものですよ。では、自分を知らず知らずのうちに苦しめているであろう口癖について一つ一つ見ていきますね。

 まず、知っておいて欲しいのは、精神療法の中の精神科医アーロン・T・ベックによって開発された認知療法の考え方

「苦痛を感じている人の考え方は“硬直化しやすく歪んだもの”になりやすい。」

また認知行動療法の考え方

「人間のマイナスの気分は間違った考え方“歪んだ思考=認知の歪み”から生まれる」です。

即ち思考の癖、脳の癖ともいえるもので意識的にせよ無意識的にせよ、それが口から出たとき口癖となって表れるのです。ただ、大なり小なり誰にでもあります。意識して使っているひとも無意識に使っている人(こちらの方が問題ですが)も一度自分の口癖をチェックしてみてはいかがでしょうか。“あっ、こんな口癖があったのか。注意しよう。直そう。”と気付くキッカケ、参考になってくれれば嬉しいです。

 大きく分けて7つの項目がありますが、今回はその中の4つについて説明します。よろしくお願いします。

 

①『でも・・・』『だって・・・』『・・・だし』『どうせ・・・』『でもさ、』など

 これらの言葉に続くのは、だいたい否定する言葉です。これは、自分自身を貶め自己否定し、マイナス思考になる言葉です。また、他人に対しては、話をしている相手を否定しケンカを売るような言葉です。人間関係が悪くなる言葉です。

 では、直すにはどうすればいいかっていうと、意識して使わないことです。これらの言葉が出そうになったら一旦止めて別の言葉を考えましょう。例えば、自分自身には、「出ちゃった。ダメ。ストップ。」と自分に言い聞かせ他人に対しては、話し相手の言ってることに「なるほどね」「そうか」「そうだね」「へぇ、そうなんだ」という言葉で始めるなどするといいですね。

 

②『俺って(私って)いつもこうなんだよ』『俺って(私って)どうしてこうなんだ』『俺って(私って)ダメな人間だ』『俺って(私って)上手くいったためしがない』など

 これは、心理学でいうところの一般化と言われるもので、一つ二つの失敗、しくじり、良くないことが起こるとすべてがダメに思ってしまうことです。「いつも」「すべて」「必ず」「絶対」という言葉を使う人に多いといわれます。ようするに決めつけやすいタイプの人です。

 この場合は、決めつける言葉は使わないようにすることです。そして、“こういう考え方・見方もあるな”“これからは気を付けよう”“ダメじゃない。まだ大丈夫”“これからこれから”など常に別の考え方、見方をすることです。実際一つ二つの失敗、しくじり、良くないことが起こっても、全てがダメになるわけではないのですから。

 

③『そうに違いない』『間違いない』『そうに決まっている』『私にはわかる』など

 これは、心理学でいうところの結論の飛躍と言われるもので、相手の気持ちや考え方、自分の周りに起こったちょっとしたことなど不確定な情報から無理やり結論を導き出すものです。一つの出来事について、いつも深読み、先読みしてしまう性格の人、自信家傾向の人に多いように思います。

 この場合は、「これでいいのか」「本当にそれで間違いないか」「それは決まっていることなのか」などと自分に問いかけることです。または、もっと情報を集めて結論を急がないことです。

 

④『〇〇するべき』『〇〇しなければいけない』『〇〇するべきではない』など

 これは、心理学でいうところのすべき思考と言われるもので、真面目、几帳面、頑張り屋、素直すぎる性格の人が多いと思います。

 会社のルール・上司の指示や世の中のルール・常識、親に言われたことなどに逆らってはいけない。従わなければならない。と思い込みやすい傾向があります。それにより考え方が固定されてしまって周りとのギャップに苦しんだり、いい加減なことが許せなくて怒れたり悲しくなったり気持ちが不安定になったりします。

 この場合は、脳だけではなく体のいろいろなところに過剰に力が働いていて、常に緊張状態にあるので、大きく深呼吸して肩の力を抜いて「まっ、このぐらいでいいか」「ここまでやればいいかな」「〇〇したほうがいいかな」「〇〇しないほうがいいな」と言うこと、考えることです。「まっ、いいか」これは魔法の言葉です。この世は結構いい加減です。楽にいきましょう。

 

まとめ

 今回は、7つの内4つを取り上げました。いかがでしょうか。いつも何気に使っているだろう言葉。いつも出ている口癖。これにより知らず知らずのうちに自分を苦しめていることも多いのです。T・P・Oに合わせてわざと使っている場合はいいのですが、無意識に使っている場合は注意です。使い続けるうちに変に自分のことを正当化したり、自己否定したり、周りに対して拒否したりとだんだん心が病んでいき日常生活に支障が出てきます。そうなる前に一度自分の口癖について、チェックしてしてみてください。意識して使っている人も気を付けないと「ウソも100回言えば本当になる」のことわざじゃないですが、脳が口癖に合わせてその人を導くようになるので注意です。自分の普段の口癖がわからない時は親しい人に「私の口癖って何かある?」と聞いてみるといいですよ。