似たような意味を持つ執着とこだわり(こだわる)。パートナー、お金、会社、ルール、食べ物など、人は少なからず色々なものに執着やこだわりを持っています。それによって、人はそれぞれのアイディンティティを保っている部分があります。
国語辞典で調べてみると、
執着とは「あることに強く心とらわれていて離れないこと。思いきれないこと。」とあり、
心理学における執着とは「心が何かにとらわれて離れられない状態」。執着心とは「何かを恐れて、しがみつきたい気持ち」です。
こだわる(拘る)は、「つまらないことに気持ちがとらわれて、そのことに必要以上に気を遣う」「細かいことなどに特に気を遣う」とあります。
どちらもネガティブな意味で使われてきましたが、近頃は、「鮮度にこだわっている」「シェフのこだわりの味」「〇〇のこだわりの店」など、こだわるは後者のようなポジティブなイメージで使われることが多くなっています。
しかし、執着心も目標達成のために最後まで諦めずに頑張るなど、ポジティブなエネルギーとして、とらえることができ自分の軸、オリジナルを大切にする意味において一概に悪い事ではないのです。
現に一つのテーマに執着して長年続けていった結果、物凄い成果を上げて世の中に貢献した人もいますし、その功績によってノーベル賞を貰った人もいます。
しかし、度が過ぎると私生活や心身に支障をきたすなど、様々な弊害が起きます。
〇 視野が狭くなり他のことが見えなくなる
〇 心が乱され本当に自分が望んでいるものから目が逸れてくる。
〇 周囲の人間や自分自身にも負担や迷惑をかけてしまう。 などです。
度が過ぎる原因としては、不安、無価値観、怖れ、罪悪感、プライドがあり、それによりある対象にしがみついている状態を作っています。
例を挙げてみると、
「お金がないと何もできない。老後が不安。だからお金がいる」
「自分にはこれぐらいしか価値がないから、ここでしかやっていけない。どんなに嫌でも会社を辞めるわけにはいかない。」
「あの人に捨てられたら私は生きていけない。あの人しかいない。」
「私が悪かったからこうなってしまった。私が何とかしなければ。」
「〇〇でないとプライドが許さない」
そして、物とか出来事に対しても第3者が「もうやめたら」と言っているのに
“これまで投資したのだから・・・”
“せっかく買ったのだから・・・”
“ここまで頑張ったのだから・・・”とか。
よく執着やこだわりを手放すと、心が楽になり、余裕ができ、フットワークよく行動でき、目の前が明るくなると言いますがその通りだと思います。
しかし、すべて捨てることがいいとは私は思いません。なぜなら、目標達成、願望成就、社会貢献などのために必要なことと思うからです。
ですから、私は、自分にとって要らない余計なもの、どうでもいいたわいのないこと・考え・人の意見などを手放すことだと思います。
しかしですね。執着やこだわりって中々手放すことができないものなんです。
人間って何かにしがみついて生きているところがあるから。それによりどこか自分を防御し安心しているところがあるからです。
手放したと思っても次から次へと出てきてうんざりします。
ですから根気よくやっていく必要があります。
そのための私なりの方法を提案します。
①『今しがみついている執着やこだわりは、ほんとに大切か必要か自問自答すること』
「なぜ、しがみつくのか」
「何がそうさせるのか」
「自分が苦しくても、周りを巻き込んでもしがみつく必要があるか」
「それがないと生きていけないぐらいのことなのか」
など、ふと浮かんだ小さい事でいいから紙に書き出して検証することです。
そして、ちょっとでも「これは別に大切なことではないな。必要ことではないな。」と思ったら、その項目を潰しましょう。
✖をつけてもいいですし、黒く塗ってもいいですし、紙を破ってくしゃくしゃに丸めてもいいです。
②『今日あったことを日記に書いてみる』
自分にとって良い事、悪い事なんでもいいですよ。不平不満、反省でもOK。口に出せないことを書きましょう。
やはり執着やこだわりが強い人は、どうしても自分の気持ち、考えに縛られるので口に出して
「ほんとは大したことないのに」
「自分でもどうでもいいことだな」
「そうだよな」と思っても、批判・否定しにくいのです。
ですから溜めすぎて苦しくなってしまいます。書いてみましょう。
書くことで心が楽になります。
③『一日頑張った自分を労わって褒めてあげる』
執着やこだわりが強い人は、自分に自信がなく、依存心が強く、自己肯定感が低いように思います。
今日一日自分にとって良かったこと、嬉しかったこと、頑張ったことを思い出して、
それに対してねぎらって褒めてあげてください。
「今日も一日頑張ったね。偉いよ。すごいよ。」
「少し良いことがあったね。嬉しいね。ツイてるね。」と
④『生かされている事に感謝し、今日も一日生きれたことを喜ぼう。』
自分では自分の力で生きていると思っても、実際は生かされているんです。
自分で作り出せるものは余りないですよね。
だって、空気は作れないし、
水も作れないし、
食べ物も農家さんが、漁師さんが、食品会社が提供してくれるから手に入れることができるし、食べることが出来ます。
コミュニケーションも相手がいるからとれるし、
気分転換のためのTV、アニメ、音楽、映画も提供者がいるから楽しめます。
ですから、生かされている事に感謝し、心豊かに生きましょう。
⑤『他人の言葉に一喜一憂しない。』
悪口を言われてシュンとする。褒められたから有頂天になる。
これではダメなんです。
これは自信のなさ、慢心からくるもので他人に影響されているからです。
人は落とされたところに居座ろう。持ち上げられたところに居座ろう。とするから苦しむんです。
他人の言葉に一喜一憂しないで、言われたことを流し、
自分の内側に目を向け、自分の変化と成長だけを楽しみましょう。
⑥『思い込みを捨てる』
「この場合はこうだ」
「これはこの方法が正しい」
「前に失敗したからまた失敗するに決まっている」など、
過去の経験の積み重ねにより出来上がる「どうせこうだ」という思い込み。
これは、結構 危険なこと です。
自分の考えが全て正しいわけではないし答えは一つではないんです。
視野が狭くなっている状態です。視野を広げていく必要があります。
過去に起きた事は全て終わったこと、未来に起こることは分かりません。そんなことに囚われて自分を見失ってはいけません。
また、過去に起きた事は戻せません。終わったことにしがみついて思い込みを作り執着するのではなく、
今、この瞬間を大切にしましょう。大切なのは今なのです。
まとめ
執着やこだわりってあまりいい風に取られることのない言葉だけど、
あることに対して執着しこだわった結果、色々便利になり科学の進歩に繋がって、世の中の発展に貢献してしてきたのは事実です。
でも度が過ぎて周りを巻き込み、苦しめ、迷惑をかけて、さらに自分をも苦しめているのも事実です。
これでは、決して幸せになりません。要らない執着やこだわりは、捨てましょう。これで心は楽になります。
「終わったことは気にしない。明日のことは寝る前に計画を立てて後は明日考える」(D・カーネギー)
終わったことは戻らない。明日のことは分からない。だから大切なのは今ここ。
今を一生懸命に明るく笑って生きていくことが大切です。
「縛られない。囚われない。流れる雲のようにふわふわと生きましょう。」